
最後に魅力的なプレゼンテーションを聞いた時のことを思い出してみてください。私と同じように、プレゼンターがプレゼンテーションの内容を説明する間、身を乗り出したり、席の端に座り込んだりした経験があるかもしれません。もしかしたら、実際の内容自体が、そうでなければ興味を持てなかったかもしれません。それでも、巧みなプレゼンテーションのおかげで、複雑な顧客調査に潜む「ドラゴン」を倒すマーケティングの「ヒーロー」や「ヒロイン」に、思わず声援を送ったことでしょう。
自覚しているかどうかは別として、優れたプレゼンターの中には、基本的なストーリーテリングの手法を用いてプレゼンテーションを組み立てている人もいます。情報の壁ではなく、明確な始まりと結末、「善人」と「悪人」を含む登場人物、場の雰囲気、そして聞き手を惹きつける論理的な流れが、これらのプレゼンテーションには備わっています。
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物語は支持者を生み出す
ストーリーテリングの手法を使うのは、単に聴衆の関心を引くためだけではありません。うまく活用すれば、聴衆はあなたが提示するコンテンツに自分自身を投影し、単なる事実だけでは得られない方法で物語の登場人物に共感することができます。
おそらくあなたも子供の頃からこのトリックに触れてきたでしょう。子どもの誘拐やその被害軽減策に関する事実や数字を伝える代わりに、幼い頃に大人から「赤ずきん」や「ヘンゼルとグレーテル」といった童話を聞かされたことがあるでしょう。これらの物語は、見知らぬ人との接し方や、ある道から外れることの危険性といった重要な内容を、はるかに身近な形で教えてくれました。
ストーリーテリングを始める
ストーリーテリングの手法を使って情報をより効果的に伝える最大の利点は、おそらく、それが自然で簡単だということです。私たちは言葉を話せるようになってからずっと、物語を聞き、語り続けてきました。ですから、複雑な枠組みや段階的な指示は必要ありません。
優れたストーリーテラーの多くは、結末を念頭に置いて話を始めます。聞き手はあなたの話からどう感じ、何を受け取るべきでしょうか?単に情報を提示するだけだとしても、聞き手がデータからどう感じるか、行動を起こす覚悟があるのか、安心感を覚えるのか、それとも世界の現状を懸念するのかを考えてみましょう。
次に、物語の登場人物を考えてみましょう。これは少し難しいかもしれません。なぜなら、会社に恐ろしいドラゴンや飢えた狼が潜んでいないことを願うからです。一般的には、チームや会社が物語の「ヒーロー」となり、外部の出来事や競合他社が「悪役」となるでしょう。
ほとんどの人は、自分の会社や「ホームチーム」に自然と親近感を抱くものですが、聴衆があなたのストーリーに個人的に関心を持つような、ヒーローの特徴を遠慮なく伝えましょう。中小企業で働いた経験があれば、自社をダビデのように、より大きな競合相手や業界であるゴリアテと戦う準備をしているようなプレゼンテーションを聞いたことがあるかもしれません。大企業で働いているなら、愛すべきながらも動きの遅い巨人として、変化する世界に適応しなければならないヒーローを描くのも良いでしょう。
悪者は、外部の市場環境から競合他社、さらには保留中の規制や命令などの無生物にまで及ぶ可能性があります。
プレゼンテーションを作成する際には、聴衆をヒーローと、その比喩的な悪役との戦いにどう巻き込むかを考えましょう。なぜこの対決が重要で、聴衆が個人的に関心を持つべきものなのでしょうか?迫り来る脅威を無視したり、失敗したりした場合、どのような結果になるのでしょうか?
プレゼンテーションの締めくくりには、主人公が最良の結果を得た場合の世界の未来を描いた「末永く幸せに暮らす」という物語を共有しましょう。もしそれだけでは説得力が足りないと感じたら、主人公が失敗した後の世界の暗い未来と対比させても良いでしょう。
複雑な技術的問題やビジネス上の問題を小さな子供にどのように説明するかを考えてみると役立つかもしれません。どんな比喩を使い、技術的な詳細をすべて理解する専門知識がなくても、どのように結果に興味を持ってもらえるでしょうか?
最初はぎこちなく感じるかもしれませんが、ストーリーを語るあなたの生来の能力を活かして構造と流れを導き、その後、最低限の技術的な詳細を補ってストーリーを完成させます。
ストーリーテリングの構造は、聴衆をその瞬間に引き込むだけでなく、あなたが提示する「末永く続く幸せ」という物語に、聴衆が個人的に共感することを可能にします。物語を語り、聞くことに対する私たちの自然な関係性を活用することは、あなたをより効果的なプレゼンターへと瞬時に導くシンプルなツールです。