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IT意思決定者は、分析に関してゼロから始める必要はありません。中小企業から大企業まで、それぞれの企業に適した分析のベストプラクティスをご紹介します。

IT リスクは、効果的なデータとシステムのセキュリティを維持するという文脈で最も一般的に定義されますが、経営者が日常的に管理する別の種類の IT リスク、つまり誤った決定を下すリスクがあります。
新しいテクノロジーの導入を検討する際、あなたやスタッフはこれらのテクノロジーに関する経験がほとんど、あるいは全くないかもしれません。このような場合、IT意思決定者が他社の取り組みを参考にし、他でうまくいっていると思われる方法に沿った提案を行うのは当然のことです。こうした「実績のある」方法を採用することで、予算策定の議論においてテクノロジーイニシアチブを推進しやすくなります。これは、経営幹部が意思決定を行う際に、ビッグデータやアナリティクスといったテクノロジー市場のリーダー企業に目を向ける理由でもあります。
参照: ビッグデータ政策 (Tech Pro Research)
ITリーダーが学べること
2015年の売上高に基づくビッグデータ企業トップ10のリストは興味深いものですが、企業がどこにどのように投資しているかを知るためには、その背後で何が行われているかを理解することが重要です。HPE、IBM、Dell、CiscoなどのビッグデータリーダーからITリーダーが学べる5つのポイントをご紹介します。
- IBM の Watson のような、さまざまな特定の業界分野での使用に合わせてカスタマイズされた既成のベスト プラクティス分析ソリューションは、分析への投資から迅速な利益を得たいと考えている組織に、研究、運用効率、戦略の面で即時かつ具体的な結果をもたらします。
- 独自の社内ビッグデータ/分析処理およびストレージへの投資を選択する企業にとって、Intel ベースの「コモディティ」ハードウェアは最も人気があり、コスト効率に優れたプラットフォームです。
- 企業内に特定の分野の専門家が不足しているため、ベンダーや外部コンサルタントに頼る企業が増えています。
- 組織が長年使用してきた実績のある分析レポート (SAS や Cognos など) は、エンド ユーザーと IT 部門がすでにこれらのツールに慣れていることもあって、データ分析において引き続き重要な役割を果たしています。
- リアルタイム分析の処理に適しており、新しい方法でメモリを使用できる新しいテクノロジー (SAP HANA など) により、物理サーバーとデータベースの動作方法が変革されています。
つまり、IT意思決定者は、ビジネス分析ツールの開発において、必ずしもゼロから始める必要はありません。最適なアプローチは、分析ツールを導入したいビジネスケースを厳密に定義し、既存のツールを検証して、それらのニーズをどの程度満たせるかを確認することです。
データセンター内に独自の分析オペレーションを構築する場合、スタッフが既に使い慣れているハードウェアを使用して構築できますが、そのハードウェアは分析処理(トランザクション処理ではなく)用に特別に構成する必要があります。これは、メモリと処理の変更、そしてリレーショナルデータベースとグラフデータベースの組み合わせなど、データベースへの異なるアプローチを意味する場合があります。
アナリティクス革命の波に乗り遅れるのではないかと懸念する中小企業にとって、IBM Watsonなどのアナリティクス・プラットフォームはクラウドで利用できるようになっています。つまり、ハードウェアやソフトウェアを独自に購入する必要がなく、サブスクリプション方式でこれらのリソースにアクセスし、活用できるのです。クラウドベースのアクセスは、競争環境の公平性を高めます。
分析開発において、新技術と既存技術を組み合わせられることで、IT意思決定者の負担が軽減されます。分析プロジェクトを立ち上げるたびに新たなリソースに投資する必要がなくなるからです。スタッフやエンドユーザーが使い慣れたツールを活用できるため、分析作業の成功を証明することも容易になります。さらに、テクノロジーベンダーは、分析時代において常に最新の情報を提供するために、多くのソリューションを刷新し、再利用してきた実績を高く評価されるべきです。
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メアリー・シャックレット
メアリー・E・シャックレットは、技術調査・市場開発会社であるトランスワールド・データの社長です。同社設立以前は、金融サービス企業TCCU, Inc.でマーケティング・テクノロジー担当シニアバイスプレジデント、コンピュータソフトウェア企業Summit Information Systemsで製品研究・ソフトウェア開発担当バイスプレジデント、そして半導体業界の多国籍製造企業FSI Internationalで戦略計画・テクノロジー担当バイスプレジデントを務めました。彼女は基調講演者であり、1,000本以上の論文、調査研究、テクノロジー関連の出版物を出版しています。