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Amazon Web Services(AWS)のようなクラウドコンピューティングサービスのメリットの一つとして、総所有コストの削減が挙げられます。これは、ハードウェアやソフトウェアの購入、人員の雇用、保守やセキュリティ対策など、オンプレミスシステムに必要なあらゆるコストをクラウドに転嫁することで、長期的にコスト削減が実現できるというものです。しかし、これは本当にそうでしょうか?
ビジネス上の意思決定者は、プロバイダーに資金を投入する前に、どの程度のコスト削減が可能かを把握する必要があります。そのためには、戦略的な計画と専門的なコスト計算が必要です。AWS は、選択したサービスの長期的なコストを正確に見積もるための計算ツールを複数提供しています。しかし、これらのツールを効果的に活用するための鍵は、まずクラウドサービスに対するビジネスニーズを把握することです。
このチュートリアルでは、AWS コスト計算ツールを使って、選択したクラウドサービスのサブスクリプション費用を長期的に見積もる方法を説明します。無料の電子書籍「AWS:9つのプロのヒントとベストプラクティス」(無料PDF)をダウンロードしてください。
参照:2020年IT予算調査レポート:セキュリティ、クラウドサービス、デジタル化が予算の最優先事項 (TechRepublic Premium)
AWS コスト計算ツールの使い方
AWSサービスの正確な見積もりを出すには、ビジネスに必要なサービスを細部に至るまで正確に把握することが極めて重要です。エンタープライズレベルのトラフィック処理を想定して設計されたサーバーインスタンスを、必要のない時に購入してしまうと、大きな損失につながる可能性があります。同様に、不十分なサービスに加入してしまうと、生産性が低下し、さらにコストがかさむ可能性があります。ビジネスに必要なサービスと、そのニーズを満たすサービスを明確に把握することが重要です。
AWSシンプル月額料金計算ツールは無料でご利用いただけ、AWSアカウントを事前に作成する必要はありません。図Aに示すように、最初の画面は少し分かりにくいかもしれません。
図A

図A
この例では、シンプル、ストレージ+メール、IoTとデータベースを含むスモールビジネスという3つのサービスレベルを比較します。新規顧客に1年間提供される無料プランは考慮しません。
シンプルストレージサービスレベルでは、左側のサービスリストからS3を選択し、適切な詳細を入力します(図B)。月間1,000回アクセスする1TBのベーシックファイルストレージインスタンスの料金は、月額23.71ドルと推定されます。
図B

図B
次のサービス層では、ストレージはそのままで、メールサービスを追加します。左側のリストからSES項目をクリックします。図Cに示すように、これはAWS Simple Email Systemの詳細ページです。月間10万通のメールと100GBのデータ転送を想定した堅牢なメールシステムを選択します。ストレージとメールサービスの合計コストは88.21ドルです。
図C

図C
比較の3番目で最後の層では、ストレージとメールサービスはそのままに、標準SQLデータベース用のEC2インスタンスを追加します。図Dに示すように、データベースサービスを追加すると、推定月額費用は大幅に増加し、合計585.97ドルになります。
図D

図D
表 Aを使用して比較を視覚的に表します。
代替コスト計算ツール: AWS 料金計算ツール
Amazonは、AWS料金計算ツールと呼ばれる二次的なコスト計算ツールも提供しています。これはシンプルな月額料金計算ツールと似た操作性ですが、サービスの詳細入力が別のウェブページに分かれています。意思決定者によっては、このツールの方が使いやすいかもしれません。
これらのコスト計算ツールはいずれも、IoTコントローラー、バックアッププラン、Lightsail仮想マシンといった、より特殊なAWSサービスは考慮していないことにご注意ください。これらのサービスのコストを見積もる場合は、個々のサービスごとに提供される価格見積もりを使用する必要があります。
例えば、月額500GBのベーシックAWSバックアッププランをサービスリストに追加すると、月額合計に25ドルが追加されます。Linuxで動作するベーシックLightsail仮想マシンを2台追加すると、月額40ドルが追加されます。
表 Bからわかるように、コストはすぐに増加し始めます。そのため、意思決定者がビジネス ニーズを明確に理解することが非常に重要です。